LocoMoco LIFE

シエナウインドオーケストラ クラリネット奏者 飯島泉のブログ

心よりご冥福をお祈りいたします

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【今日の名言】より

小澤征爾(指揮者)

ただ僕が願っていることは、いい音楽を精いっぱい作りたいということだけ。

技術の上手下手ではない。その心が人を打つ。

1959年にフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで一番になって、カラヤン先生に弟子入りしたけれど、私、言葉がわからないでしょ。大変でした。

私は当時、指揮ということすら知らなかった。実はオーケストラを聴いたこともなかったんです。ピアニストを目指しながら成城学園中学校ラグビーもやっていて、成蹊学園との試合中に指を怪我しましてね。ピアノが弾けなくなった。その時に、豊増先生に指揮を勧められたんです。

言葉ができないと不自由ばかりですけれど、一つよかったのは、海外で指揮する時に私は喋らないんです。喋れないから。言葉が堪能だと説明しすぎてしまうでしょ。説明の多い指揮者はよくないんですよ。

空港で若い日本人の姿を見ると、ちょっとがっかりさせられるの。私はいつも「外国を見たほうがいいよ」と言ってはいるけれど、1週間くらい観光して帰国するというのはねえ。できることなら、じっくりと勉強してほしい。まあ、1週間でも行かないよりはましかもしれませんけれど。

音楽は言葉も国も宗教も政治も超えて、人と人の心をつなげることができる。みんなで一つになれる。

テレビで見たり、インターネットで調べたりで世界を知った気持ちになってしまう。確かに私たちが若い頃よりもはるかに海の向こうの情報は入ります。でも、それは他の誰かの体験であって、自分自身の経験ではありません。

日本製の地球儀を眺めると、日本が赤く塗られていますでしょ。世界全体から見ると、日本語圏はあれっぽっちです。そこだけの価値観で一生を過ごすのはもったいないですよ。

日本人がどこまで西欧音楽を理解できるかという壮大な実験をしてきた。僕は「東洋人と西洋人は違う」ってはっきり言いました。だけど、どっかではつながっているんだと思う。世界共通、人間の感情は。

音楽は非常に「個」の強いものです。一人一人の経験の中からじわじわっと出てくる。

これまで生きて悲しみを味わった経験。悲しみは人から教われないからね。自分でわかんなきゃ、わかんないわけだから。

集中力っていうのは天才のものじゃない。訓練だ。

音楽は言葉も国境も人種も大気圏も超え、人と人の心を直接つなぐことができる。地球にいる私たちは皆同じ生き物であり、一つなんだ。

音楽というのは、作曲家のものです。でも、五線譜に書いただけでは音にならないから、演奏者や指揮者がいるわけです。だから、指揮者は作曲家がどんな気持ちで書いたのかを理解するために、じっと深く楽譜を読み続けます。

じっと楽譜を読み続けていると、ある時、頭の中で音が鳴り始めます。現代の作品であれ、中世の作品であれ、作曲家の頭の中で鳴っていた音楽が聴こえてくる。

小澤征爾氏は2月6日、心不全のため88歳で死去しました。