2日間の熊本での審査を終えました。
ご存知のように、今年はコロナ禍で夏の全日本吹奏楽コンクールが中止になり、多くの子供たちが目標を失いました。
そんな中、熊本県は独自のコンクールを開催しました。
これは、本当にすごいことです。
会場はあらゆる感染防止策が行われていました。
無観客開催です。
出演者は、リハーサル前に熱を計りあらゆる場所で消毒をし、演奏直前までマスクをし、ホール内の観客は私たち審査員のみ。
審査席は二階席で、ディスタンスが保たれています。
転換のたびに行われる、椅子や譜面台の消毒。
丁寧に、譜面台のネジの部分までされていました。
休憩の度に、床もアルコール消毒し拭き上げていました。
出入りは密にならないよう、打楽器と大型楽器は下手から。
出演者は、ロビーを通り、ホール内会場下手から入場、退場は会場上手から。
全ての運営、誘導や消毒は、先生方とボランティアの大学生が行ない、高校生は演奏するだけです。
演奏の直前に会場入りし、終演後は直ぐに帰ります。
開会式も閉会式もなく、審査結果はあとからネットでみられるようにしているそうです。
エントリーした後も、感染者が見つかった学校は、吹奏楽部でなくても出場することができず、直前の辞退の学校もありました。
これで引退をする3年生は、本当に悔しい思いをしたことでしょう。
『なんでもダメと言うのではなく、大人がどうやったら出来るか考えてあげることが大切です。』
熊本の先生のお言葉が心に残ります。
ここまで徹底した開催に至るまで、相当なご苦労があったかと思います。
このような先生の元で指導を受けた生徒たちは、なんて幸せなのでしょう。
熊本の子供たちの演奏は本当に素晴らしいものでした。
地震に水害、そしてコロナ。
まだ日常生活が回らない中、ひとつの目標に向かって作り上げてきたその音楽は、鳥肌が立つような涙が込み上げてくるような、豊かなあたたかなサウンドでした。
コンクールで、重箱の隅を突つくようにきっちり作られた音楽とは違い、多少のズレやミスがあったとしても、そこには、そんな事が気にならないくらい自由で伸びやかな本物の音楽がありました。
帰路、熊本空港から
今回ご一緒させていただいた、素晴らしい審査員の先生方と、コンクールの本来あるべき姿はもしかしたらこんな演奏だったのかもしれないねと話しました。
素晴らしい瞬間に立ち合うことができた2日間でした。